一般社団法人広島市医師会臨床検査センター

Hiroshima City Medical Association Clinical laboratory

Q110 尿沈渣結果の赤血球コメントに「変形赤血球を認めます」とありますが、どのように解釈したらよいですか?

A110

正常な赤血球は丸いドーナツ状ですが、変形赤血球は大小不同や標的状、コブ状、有棘赤血球など多彩な形の赤血球です。

血尿は内科的血尿(腎臓や糸球体内など)である糸球体性血尿と泌尿器科的血尿(主に膀胱や尿道など)である非糸球体性血尿に大別されます。

非糸球体性血尿の赤血球は円盤状、球状など形態がほぼ均一で単調ですが、糸球体性血尿の赤血球は浸透圧や尿㏗の違いで委縮状、膨化状、脱ヘモグロビン状やゴースト状となり、不均一で多彩な形態を呈します(図写真参照)。さらに、赤血球円柱や様々な成分円柱、蛋白尿を伴う場合が多いとされています。

当検査センターでは、赤血球が基準範囲(5個/HPF以上)を超えた場合は、変形赤血球の確認を常に行っており、検出された場合には、「変形赤血球」とコメント報告しています。

血尿の原因は腎炎、IgA腎症などの腎臓内科領域の疾患、尿路結石など泌尿器科領域の疾患や過度の運動によるものなどさまざまです。変形赤血球は正常な尿でも認める場合がありますので、臨床症状と併せてご判断ください。

 

担当 血液・尿一般係

 

Q&Aは広島市医師会会員及び当検査センターをご利用の医療関係者(医師、看護師、臨床検査技師等)を対象に臨床検査に関わる情報を提供しています。掲載する情報は、一般の方に対する情報提供を目的としたものではないことをご了承ください。