Q67 尿蛋白/クレアチニン比の臨床的意義を教えてください。
A67
尿蛋白排泄量を把握するための簡易的な方法として、尿一般試験紙法が用いられますが、被検者の状態により尿が希釈または濃縮されるため、随時尿では正確な排泄量の評価ができない可能性があります。(希釈尿では過小評価による偽陰性、濃縮尿では過大評価による偽陽性)
可能であれば24時間蓄尿を行い、1日総蛋白排泄量として評価するのが最も望ましいとされていますが、外来患者で蓄尿を行うことは困難です。そこで随時尿を用いて1日総蛋白排泄量を導き出すための計算式として尿蛋白/クレアチニン比が用いられます。
この計算式は、希釈尿や濃縮尿が補正されるメリットがあり、CKD 診療ガイド2012では専門医への紹介基準や CKD 重症度分類基準などにも用いられています。
ただし、クレアチニンは被験者の筋肉量に依存しますので、筋肉量が極端に平均より増減がある場合は評価に注意が必要となります。
*ご依頼は、検査依頼書ⅠもしくはⅡの欄外項目欄に、「尿蛋白/クレアチニン比」とお書きください。
〔注〕項目コードは8178-05でもご依頼できます。
Q&Aは広島市医師会会員及び当検査センターをご利用の医療関係者(医師、看護師、臨床検査技師等)を対象に臨床検査に関わる情報を提供しています。掲載する情報は、一般の方に対する情報提供を目的としたものではないことをご了承ください。